気圧配置で変わる!冬の低山の天気
冬の低山では雨も雪も降る可能性があります。
今回は好日山荘登山学校実技講座で登った鈴鹿山脈・藤原岳で雨が降った時と雪が降った時の天気図と気象の違いについて解説します。
雨と雪を分けるもの
降水が雪になるか雨になるか。これを左右する主な要因は「気温と湿度」です。
図1でも分かるように、気温が低いほど、また湿度が低いほど雪が降りやすくなります。
雪が降るのは気温が0℃以下というイメージがありますが、実際は3~4℃でも雪が降ることがあるのです。
雪となったとき(2017年1月14日)
さて、ここからは鈴鹿山脈・藤原岳(1,144m)での実際の天気とそのときの天気図について見ていきます。
最初の例は東海地方で大雪となった2017年1月14日です。
この日は藤原岳でも登山口から降雪があり、8合目付近では吹雪となっていました。
この日の天気図を見ると、西高東低の強い冬型の気圧配置となっていたことが分かります(図2)。
冬型の気圧配置になっているとき、日本付近では冷たい北西~北の風が吹き、冷たい空気に覆われます。
実際、この日は高度約1,500m付近で-6℃以下という強い寒気に覆われていました。
さらに、中部~九州では等圧線の間隔も狭くなっていて、風が強かったことも分かります。
雨となったとき(2018年1月8日)
次の例は雨となった2018年1月8日についてです。
この日の朝からどんよりとした雲に覆われていて、藤原岳登山口~4合目付近では雨となっていました。
(※この日は4合目付近までしか登っていないため、これより上の様子は分かりません。)
この日の天気図を見ると、九州の北にある低気圧が日本海へと移動していく日本海低気圧型の気圧配置であるのが分かります。
日本海低気圧型の気圧配置のとき、低気圧に向かって暖かい南寄りの風が吹いて日本付近は暖かい空気に覆われます。
この日も高度約1,500m付近では0℃以上の空気に覆われていました。
このため、藤原岳登山口~4合目付近までは雨となっていたと考えられます。
標高と雨/雪
2018年1月8日は4合目までしか登りませんでしたが、もし山頂まで登っていたらどんな天気だったでしょうか。
仮に山頂の湿度85%とすると、図1から約2.8℃以下では雪の可能性があるのが分かります。
また、気温は標高が100m上がるごとに約0.65℃下がります。
高度約1,500mの気温が約0℃なので(図3)、1,070m付近(気温:約2.8℃)からは雪が降っていた可能性があります。(図4)
まとめ – 冬の低山を登るときの注意点
〇冬の低山では気圧配置によって雨も雪も降る可能性がある。
〇標高が上がると気温が下がるため、麓が雨でも山頂は雪となっていることもある。
〇登山前には天気だけでなく、予想気温から麓・山頂の気温を調べておく。