コロナ禍での小屋泊!登山安全に楽しむためには?
コロナ禍での安全対策を考えながら、山小屋泊登山、どのように楽しめばしいいでしょうか。
白馬岳への小屋泊登山の実体験を踏まえて、新しい状況の中での山小屋泊登山についてレポートします。
小屋泊登山の魅力に触れよう!
そもそも山小屋とはどんなところでしょうか? 山行中に寝泊まりをしたり、休憩時に立ち寄って食事をしたり、天候や体調が悪くなった時に、避難場所として使わせてもらったりすることもあります。また、山小屋といっても、管理スタッフが常駐する「有人小屋」と管理人不在の避難小屋と呼ばれる「無人小屋」があります。山の麓に位置する小屋もあれば、稜線上、山頂付近など様々な場所に存在します。
では、小屋泊登山にはどんな魅力があるのでしょうか?
小屋泊登山の魅力① テント泊に比べ、荷物が減らせて負担が少ない
衣食住全てを自分で担ぐ必要のない小屋泊では、日帰り装備に+α(着替え・洗面用具)で済むため、バックパックの容量も30~40Lで収めることができます。
小屋泊登山の魅力② 1日の行動時間を短くできる
日帰り登山では、日没前の下山が必須となりますが、小屋泊登山では小屋がゴールとなりますので、比較的心の余裕が生まれます。
小屋泊登山の魅力③ 個性のある小屋食を楽しめる
カレーライス、ラーメンなどの定番メニューから、地物を使用したオリジナルメニューまで、メニューからも小屋の個性を楽しむことができます。「△△小屋の◯◯を食べたい」というふうに、小屋のごはんを基準に、山を決めることだって考えられます。
小屋泊登山の魅力④ 濡れた装備を乾かすことができる
山小屋の共用スペースには乾燥室が用意されていることが多く、雨や汗で濡れてしまった装備を乾燥させることができます。そのため着替えも必要以上に持っていかなくても大丈夫です。ただし、他の宿泊者も利用するため、1人で複数ヶ所を占領するのは禁物です。マナーを守って利用しましょう。
小屋泊登山の魅力⑤ 水の確保、トイレの利用が快適
宿泊者は、小屋内の飲料水やトイレを自由に利用することができるのが普通です。ただし、消灯時間以降に利用する際は、他の宿泊者の迷惑にならないよう注意しましょう。
小屋泊登山の魅力⑥ 管理人やスタッフに相談ができる
山小屋の管理人さん、スタッフさんはその山の事情に詳しいもの。場所・季節によっては、山岳遭難救助隊やパトロール隊が常駐する小屋もあります。翌日の天気や行程が不安な場合に相談することができるのも、山小屋利用のメリットでしょう。
これらが、テント泊登山とは違う、小屋泊登山の魅力、メリットといえるでしょう。
コロナ禍で運営する山小屋で実際に小屋泊を体験!
今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、登山自体が従来のあり方と変化せざるを得ない状況にあります。その中でも、「三密」になりやすい小屋泊登山では、感染症対策に注意しなくてはなりません。
山域によっては、営業を断念した山小屋や、営業はしているものの、登山者の受け入れ人数を縮小し、さらに「原則事前予約」「スタッフのマスク、消毒の徹底」「施設内の消毒と換気の徹底」「宿泊者同士のソーシャルディスタンスの確保」「宿泊者の住所と正確な情報把握」「宿泊者への、館内でのマスク着用のお願い」「食事時の、登山者同士の会話の自粛」といった、感染防止に向けたガイドラインを公表し、例年とは異なる方法で営業している山小屋が多くなっています。
ここからは、先月、白馬岳山行を山小屋泊で行った際に、私自身がどんな点に注意して小屋泊登山に臨んだのか、また、小屋内での感染症対策は実際どうだったのかをご紹介していきたいと思います。
小屋泊登山に向けての事前準備
小屋泊登山に向けての事前準備も例年とは違いました。1日の行動時間を短く、余裕のある行程とし、計画に沿って、山小屋を決めたら、ホームページを見て、山小屋が発信している感染症対策の情報を収集し、マスクやアルコール消毒液、インナーシーツなど、小屋の指示にしたがって装備を整えます。山行2週間前から検温して記録していくなど、メンバー全員で体調管理を行いました。
山小屋はどこも、今年は「事前予約制」となっています。予約は先着順となりますので、都合がつかなくなってしまった場合は、早急にキャンセルの連絡を入れるようにしましょう。
では、「白馬大池山荘」「白馬山荘」で実際に行われていた感染症対策を見ていきましょう。
飛沫対策された白馬大池山荘の「受付」と白馬山荘の「食堂」です。
小屋内では、複数ヶ所にアルコール消毒液が設置されていました。また、感染症予防対策実施のお願いを掲示し、注意喚起していました。
小屋内の水道には、液体石鹸が数ヶ所設置されていました。小屋に入ったら、念入りに手洗いをおこないます。
対面にならないよう工夫された白馬大池山荘の配膳の様子です。また、ひと席空けて登山者同士の距離も確保されていました。
このように、私たち登山者が「安全・安心・快適」に利用できるよう山小屋は体制を整えてくれていました。これだけ徹底した感染症対策を行っているスタッフのみなさんの苦労を考えると、頭が下がります。
では私たち登山者は、どんな感染症対策をおこなえるでしょうか? 感染症予防を意識した小屋泊登山の装備に触れていきたいと思います。
小屋泊装備を確認しよう!
小屋泊登山の魅力のひとつに、装備が軽量化できること、があります。基本的には、「日帰り装備+α」となるため、バックパックの容量は30L~40Lが目安になります。
従来の小屋泊登山では、+αの装備として「着替え」「防寒着」「洗面道具」があります。そこに感染症対策としての必携品が加わるのが今年の小屋泊装備です。各山小屋のホームページでは、感染症対策としての必携品を記載しています。今回は、「白馬大池山荘」「白馬山荘」を例に、実際に持参・使用した感染症予防必携品をご紹介します。
マスク、除菌液、ウェットティッシュ、ゴミ袋、タオル
小屋内や売店では、マスクの着用が必須です。常に消毒ができるよう除菌液やウェットシートの準備も忘れずに。ゴミはジッパー付で完全密封して持ち帰りましょう。
インナーシーツ、シュラフ、枕カバー
感染症で特に懸念されるのが、大勢の方が利用する寝具です。天日干しは定期的に行われているものの、完璧な感染症対策は実際問題、不可能です。そこで活躍するのが「インナーシーツ」です。
「インナーシーツ」には、吸汗速乾性や保温性を重視したものから、肌当たりがよく、軽量コンパクトに設計されたシルクや天然素材が使われたものまで、用途に応じて適したモデルが展開されていますので、「インナーシーツ」持参となっている山小屋に宿泊する場合には、事前に購入していきましょう。
なお、万が一、準備できなかった場合として、白馬山荘では、「不織布製シーツ・カバー・枕カバー」の3点セットが、1,000円で販売されていました。
小屋泊では、布団が直に接触しないようインナーシーツに身を包みますが、活躍するのは感染症対策としてだけではありません。シュラフのインナーとして使えば、保温効果を高められ、汚れ防止にも繋がります。また、単体で使用することも可能です。
感染症と共存せざるを得ない昨今、そんな苦境の最中だからこそ、私たちの心と身体にリフレッシュ効果を与えてくれる登山・ハイキングは欠かせない存在です。
引き続き登山を楽しむためにも、私たちひとりひとりが感染症予防の意識を高め、みんなで「安全・安心・快適」に秋山シーズンも楽しみましょう♪
もっちー(好日山荘おとな女子登山部) 埼玉生まれ埼玉育ち。幼少期からスポーツが大好きで体育教師の憧れを抱き体育大学へ進学。ワンダーフォーゲル部所属し登山の虜になる。もともとはクライミングと登山が好きだが、数年前からトレイルランニングにハマりレースにトライ。現在は「日本山岳耐久レース」出場を目標に励んでいる。