
Let's experience
National Parks
of Japan
体験しよう、日本の国立公園
Let's experience National Parks of Japan
- 最新のツアー・講座情報:
- 2025.07.21-22 富士槍屋久島登山部 槍ヶ岳登頂の為のトレーニング
- 2025.07.26-27 【登山学校実技講座】テント泊で行く!日本百名山 焼岳(1泊2日)
- 2025.07.26-27 【おとな女子登山部】百名山 乗鞍岳で星空観察とご来光登山を楽しむ♪(女性限定講座)
- 2025.08.02-03 【おとな女子登山部】苗場山登頂と山小屋に泊まって高層湿原を楽しむ♪(女性限定講座)
- 2025.08.04-06 【登山学校実技講座】国際山岳ガイド 山下ガイド同行 西穂~奥穂縦走(ジャンダルム)3日間
- 2025.08.18-20 【登山学校実技講座】国際山岳ガイド 山下ガイド同行 西穂~奥穂縦走(ジャンダルム)3日間
- 2025.08.24-25 【登山学校実技講座】日本百名山 花の百名山 白山(2,702m)を楽しむ1泊2日
- 2025.09.06-07 【登山学校実技講座】テント泊で行く!日本百名山 仙丈ヶ岳(1泊2日)
- 2025.06.21 【好日山荘登山学校×島田ガイド事務所】富士槍屋久島登山部 槍ヶ岳登頂の為のトレーニング

- Park No.5
- 大雪山国立公園
- だいせつざんこくりつこうえん
- 北海道
北海道の真ん中に広がる大屋根
-カムイミンタラ 神々の遊ぶ庭-
- 大雪山国立公園は、北海道の中央部に広がり、道内最高峰・旭岳(2,291m)を主峰とする大雪火山群を中心に、トムラウシ山や十勝岳連峰、石狩岳連峰などの雄大な山々を含む一帯が、「北海道の屋根」として国立公園に指定されています。この地域は、標高こそ2,000m前後ですが、北緯が高いため、本州の3,000m級の山々にも匹敵する高山環境が広がっています。広々とした高山帯には、エゾオヤマノエンドウやホソバウルップソウなど、大雪山特有の高山植物が咲き誇り、その色彩豊かな景観は、かつてアイヌの人々に「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれたほど。さらに、ナキウサギやウスバキチョウ、然別湖にのみ生息するミヤベイワナなど、氷河期から生き残った希少な動植物が息づく、貴重な生態系の宝庫でもあります。
- Mountain/Field
- 公園に属する山・コース
- Learn more
- 大雪山国立公園を詳しく知る
- 大雪山国立公園は、旭岳を擁する大雪火山群をはじめ、活火山・十勝岳を主峰とする十勝岳連峰、然別火山群、古成層からなる石狩岳連峰など、さまざまな山々から構成されています。石狩岳連峰を除く多くの山々は、比較的新しい時代の火山活動によって形成されたもので、現在も旭岳(2,291m)、十勝岳(2,077m)、東大雪丸山火山(1,692m)が活動中です。中でも十勝岳は、近年も噴火を繰り返しており、活発な火山の一つです。
- 公園内には、火山活動と浸食作用が生み出した壮観な景観も広がっています。層雲峡や天人峡では、柱状節理と呼ばれる多角形の岩柱が並ぶ絶壁が見られ、火砕流堆積物が冷え固まる過程と、河川の侵食によって形づくられました。また、約3万年前の大噴火で生まれたお鉢平カルデラや、100万年前の噴火で形成された十勝三股の巨大カルデラ地形なども、火山地形の特徴的な例です。
- 寒冷な高山環境にある大雪山では、極地に似た地形現象も観察されます。高根ヶ原には、凍結と融解によって泥炭が縞状に盛り上がる「パルサ」や、大小の石が規則正しく並ぶ「構造土」といった現象が見られます。永久凍土も存在し、標高2,000m付近の高山帯を中心に、然別湖や十勝三股など標高の低い場所にも分布しています。特に然別湖周辺では、地下の永久凍土から冷気が吹き出す「風穴」と呼ばれる独特な地形が形成されており、こうした地形と生態系は「とかち鹿追ジオパーク」にも認定されています。このように、大雪山国立公園には地質学的にも非常に価値のある地形が点在し、火山の恵みである温泉も数多く湧き出ています。訪れる人々は、自然の壮大さと地球の歴史の一端に触れることができるでしょう。
- 大雪山国立公園の山々の多くは標高2,000m前後ですが、緯度が高いため、本州の3,000m級の山々に匹敵する厳しい高山環境を有しています。こうした過酷な地形と気象条件が、多様で豊かな植生を育んでいます。広大な山麓部には、エゾマツやトドマツを主体とした針葉樹と広葉樹の混交林が広がり、標高が上がるにつれて針葉樹林からダケカンバ林、森林限界を経てハイマツ帯へと植生が移り変わります。山頂付近には、日本の高山植物の約4割に相当する約250種が分布し、多彩な高山植物群落が見られます。
- エゾオヤマノエンドウやホソバウルップソウといった大雪山固有種、さらにはリシリリンドウのような分布の限られた希少な種類も含まれています。7月には、小泉岳や高根ヶ原、化雲岳周辺で、ホソバウルップソウの花々が群生し、一面が青紫色のお花畑となって登山者を魅了します。また、裾合平では同じ時期にチングルマの可憐な白い花が咲き誇り、風に揺れる様子は高山の夏を象徴する風景となっています。加えて、高原の湿地帯には高層湿原が広がり、湿原特有の植物や、寒冷な環境に適応したわい性のアカエゾマツも見られます。
- このような森林景観と、高山植物が織りなす色とりどりの花畑は、まさにアイヌの人々が「カムイミンタラ=神々の遊ぶ庭」と呼んだにふさわしい荘厳な美しさを湛えています。厳しい自然環境の中に広がる繊細で華やかな生命の営みは、大雪山国立公園ならではの魅力といえるでしょう。
- 豊多様な環境をもつ大雪山は、その広大なスケールに比例して生物多様性にも富んでいます。広大な森林には、ヒグマやエゾシカ、キタキツネ、エゾリス、エゾオコジョなど多くの哺乳類が生息しており、とりわけキタキツネは大雪山国立公園の各地でその姿を見かけることができます。鳥類も豊富で、国の天然記念物であるシマフクロウや、希少な野鳥として知られるクマゲラのほか、「幻の鳥」ともいわれるミユビゲラも確認されています。ノゴマは、オスの喉元が鮮やかなオレンジ色をしており、灌木の先などにとまって目立つ姿で大きな声でさえずり、大雪山の樹林帯でよく見られる魅力的な鳥です。
- 高山帯に目を向けると、そこにも独特な生き物たちが暮らしています。サケ科の魚オショロコマが冷涼な水域に棲み、その亜種であるミヤベイワナは然別湖にのみ生息しています。鳥類では、夏になると赤みがかった美しい姿のギンザンマシコが、ハイマツ帯でつがいとなって繁殖する姿が見られます。さらに、ホシガラスなどの高山鳥もこの地域で確認されています。
- 大雪山には、他ではほとんど見ることができない希少動物も数多く存在します。たとえば、寒冷な岩場にひっそりと暮らすエゾナキウサギは、「生きた化石」とも称される氷河期の生き残りです。そして、大雪山にしか生息しない高山蝶・ウスバキチョウは、半透明の黄色い羽をもつ美しいチョウで、国の天然記念物にも指定されています。こうした「遺存種」と呼ばれる動物たちは、かつて大陸から渡ってきて、気候変動の中でも寒冷な高山にのみ生き残った貴重な存在です。このような希少な動植物が息づく大雪山は、高山帯の広がりから国の特別天然記念物に指定されており、十勝川源流域を含む一帯は原生自然環境保全地域としても保護されています。
- 大雪山国立公園には、旭岳・トムラウシ山・十勝岳など登山者を魅了する山々が連なり、登山道ごとに難易度や雰囲気を5段階で示した「大雪山グレード」が設定されています。豊かな自然に抱かれながらの登山を楽しんだ後は、層雲峡温泉やぬかびら源泉郷といった温泉地で、身体を芯から癒すことができます。
- 夏の層雲峡温泉では、「層雲峡温泉峡谷火まつり」が開催され、フクロウ神事やアイヌ民族舞踊などを通じて北海道の先住民族であるアイヌの文化に触れることができます。峡谷に響く太鼓とともに打ち上がる花火が夜空を彩る中、周囲の登山口からは旭岳などへのアクセスも良く、昼は山を歩き、夜は文化と温泉を味わう贅沢な時間が過ごせます。
- 上士幌町からぬかびら源泉郷を経て十勝三股へ至る国道273号沿いには、かつての旧国鉄士幌線に残されたアーチ橋梁群が点在しています。中でもタウシュベツ川橋梁は、水位の変化によって湖底に沈んだり姿を現したりすることから「幻の橋」として知られています。これらの近代産業遺産は、周囲の山岳地帯やトレッキングルートとともに、東大雪の自然と開拓の歴史を感じさせてくれる存在です。
- Special Tour
- 日本全国の国立公園を歩く
講座•ツアー